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前田健太郎『女性のいない民主主義』〈著者からのメッセージ〉

男性支配と向き合う
前田健太郎
 

 二つある政党のうち、片方の政党が常に選挙で議席の8割から9割を獲得する国を想像してほしい。おそらく、この国は民主国家には見えないだろう。

 それでは、男性と女性という二つの集団のうち、片方の集団が議席の8割から9割を獲得する国はどうだろうか。この国は、民主国家なのだろうか。

 実は、この二つ目の国は日本である。これまで、多くの人は、日本が民主主義の国だと教えられてきた。だが、女性の政治家がほとんどいない国の政治体制が民主主義と呼ばれている理由を、どれだけの人が説明できるだろうか。大学の授業で使われている政治学の教科書をめくってみても、きちんとした説明を見つけ出すのは難しい。

 『女性のいない民主主義』は、こんな状況を変えたいという思いから書かれた。男性支配という現実から目を背けるのではなく、向き合うこと。そうすることを通じて、より豊かな政治学の可能性が開けることを示したい。


(まえだ けんたろう/東京大学法学部准教授)

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著者略歴

  1. 前田健太郎

    1980年,東京都生まれ.2003年,東京大学文学部卒業.2011年,東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了,博士(法学).首都大学東京大学院社会科学研究科准教授を経て,
    現在―東京大学大学院法学政治学研究科准教授
    専攻―行政学・政治学
    著書―『市民を雇わない国家――日本が公務員の少ない国へと至った道』(東京大学出版会,第37回サントリー学芸賞〔政治・経済部門〕)

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