クラウス・コルドンさんからのメッセージ
クラウス・コルドン氏
親愛なる日本の読者、とくに東京と京都と大阪の読者のみなさんへ
わたしの小説『ベルリン1919』がふたたび日本の読者の手にとどくようになることをとてもうれしく思っています。なぜとくに東京と京都と大阪の読者のみなさんへと強調するかというと、この重要な3都市を訪ね、その魅力を堪能する機会に恵まれたことがあるからです。
5年前、わたしは自分の作家業について講演するため日本に招待されました。わたしという存在を日本の読者に知ってもらうとてもよい機会になりました。また本書を日本語に翻訳したよき友人、酒寄進一氏を介して3都市の歴史を知ることができました。
わたしはドイツの歴史をテーマに小説を書いています。はたして日本の読者が興味を持つだろうか。ふつうはそう思うでしょう。しかしわたしはこの日本旅行以降、この世界が思った以上に小さいことを知っています。
興味を持つことは義務でありません。それでも、とてもたくさんの方が関心を寄せてくれたことは、わたしにとって無上のよろこびです。わたしの本をめぐって、たくさんの方が話しかけてくださり、そのあとわたしはサインを求められました。
『ベルリン1919』は20世紀前半のドイツで起きた3つの大きな転換点を描いた3部作の第1巻にあたります。第一次世界大戦の末期とドイツ帝国崩壊の時代をベルリンのヴェディング地区に住む勇気ある一家の視点で描いています。ヴェディング地区というのは、わたしの故郷であるベルリンの中でも当時もっとも貧しい地区のひとつでした。
つづく巻では1932/33年と1945年のベルリンを描きました。第2巻の『ベルリン1933』では、アドルフ・ヒトラー率いるナチ党がドイツを支配します。第3巻の『ベルリン1945』では、第ニ次世界大戦が終戦を迎えます。
この転換期3部作では、その後の世界史に大きな影響を与えた出来事について語りました。暖かい心をもち、冗談を飛ばし、互いに支えあった当時のふつうの人たちの人生に多大な影響を与えた出来事ばかりです。
心をこめてクラウス・コルドン