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クラウス・コルドン作 ベルリン3部作

岩波少年文庫 ベルリン3部作

20世紀前半のベルリンを舞台に、時代の転換期を労働者一家の目線で描く〈ベルリン〉3部作。
戦後ドイツ児童文学を代表する作家、クラウス・コルドンの代表作。
 
 ■ひこ・田中さん推薦■
 20世紀前半ドイツの3つの転換期を描く物語の主人公は子ども(1919年はヘレ、1933年はヘレの弟ハンス、1945年はヘレの娘のエンネ)だ。
 転換期には、子どもが傍にいても自分を取り繕う余裕が大人にはなく、家族や近所の人たちとの政治的対立、裏切り、語り合っても通じない心、権力への媚びへつらい、愚かな信奉などが子どもの目の前で露わになる。もちろん子どもも大活躍する余裕はない。が、彼らは大人の振る舞いを記憶し、自分の考えを少しずつ形成していく。子ども(未来)に信頼を抱くのが児童書の強さだ。
 これほど大人の右往左往が正直に語られている児童書はめったにあるものではない。大人には痛いし、読むには覚悟がいる作品だが、その価値はある。
(ひこ たなか)児童文学作家
 
 ■深緑野分さん推薦■
 ゲープハルト一家は暮らしていた、あの時、あの場所で。
 言葉の力で小説世界に没頭できると最高だ。コルドンのベルリン三部作はあらゆる点で傑作だけれど、描写が本当に素晴らしい。立ち上がってくる灰色の街と不穏な気配、木の階段を駆けのぼる子どもの足音、毛羽だったコートの手触り、におい。過去から吹く風は私たちを絡め取り、時間も国境も越えて、あの時、あの場所へいざなう。
 『ベルリンは晴れているか』を書く際、特に『ベルリン1945』を参考にした。私のアウグステとヘレはご近所さんだ。『ベルリン1919』で少年だったヘレは、一家は、街は、かの恐ろしい迫害と戦争へ突入していく。どうか最後まで読み届けてほしい。
(ふかみどり・のわき)2010年「オーブランの少女」で第7回ミステリーズ!新人賞で佳作に入選し、小説家としてデビュー。『戦場のコ ックたち』、『ベルリンは晴れているか』が直木賞候補に。第66回神奈川文化賞未来賞、第9回Twitter文学賞を受賞。

  

第1部 『ベルリン1919 赤い水兵』上・下

2020年2月14日刊行 

岩波少年文庫 本体各1200円
カバー画 西村ツチカ
 

     

 1918年冬、ドイツ帝国下のベルリン。貧しいヴェディング地区のなかでもとくに貧しいものが暮らすアッカー通り37番地。4年前にはじまった戦争はまだ終わらず、貧しい労働者一家の息子、ヘレはいつもお腹を空かせていた。だが水兵の反乱をきっかけにして、とうとうベルリンでも平和と自由を求めるデモがはじまり……。
 第1次世界大戦の終結と皇帝の退位、そして革命のその後の顛末を、13歳の少年ヘレの視点で描く第一作。

 

第2部 『ベルリン1933 壁を背にして』上・下  

2020年4月16日刊行

岩波少年文庫 本体各1200円
カバー画 西村ツチカ
 
       

 1932年夏、ハンスは初出勤を前に緊張していた。世界恐慌のあおりを受けて、この頃は就職できるだけも幸運だ。「よりよき未来」を約束するナチは先日の選挙でも大勝し、貧しいアッカー通りにも入党するものが現れていた。やがて年が明けた1 月、ヒトラーが首相の座につくと、政敵への弾圧は一気に激しさを増し……。
 ナチが政権を奪取するまでのわずか数か月間を、15歳のハンスの視点でつづった第二作。

 

第3部 『ベルリン1945 はじめての春』上・下

2020年7月14日刊行

岩波少年文庫 本体各1200円
カバー画 西村ツチカ
 

     

 1945年冬。ベルリンの街は瓦礫だらけだ。戦争は終わりかけているが、繰り返される空襲に、人びとは疲れ切っていた。ヘレの娘、エンネはアッカー通りのアパートで、両親代わりの祖父母と暮らしている。やがてきびしい敗戦の過程を生きのびながら、エンネは次々に家族の秘密を知っていくことに……。
 ナチ政権下で育った12歳の少女、エンネがこれまで教え込まれてきた「嘘」に気づいていく姿を中心に、「戦後」に変わりゆく過程での人びとの経験と、それぞれの人生の変転を描く完結編。

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著者略歴

  1. クラウス・コルドン

    ドイツの作家。ベルリン生まれ。東西ドイツの分裂後は、旧東ドイツの東ベルリンに育つ。さまざまな職業を経たのち、貿易商社につとめ、インド、インドネシア、北アフリカを訪れる。1972年、西側への逃亡に失敗し、1年間拘留される。独居房での5か月を、頭のなかで小説を書くことで生きのびたという。西ドイツ政府によって73年に釈放されると、その後、西ベルリンに移住した。1977年にインドネシアを舞台とする『タダキ』でデビュー。以来、数多くの児童書やYA作品を発表する。評伝『ケストナー ナチスに抵抗し続けた作家』でドイツ児童文学賞受賞。『ベルリン1933 壁を背にして』で、銀の石筆賞受賞。

  2. 酒寄進一

    1958年生まれ。翻訳家。和光大学教授。上智大学を卒業後、ケルン大学、ミュンスター大学に学ぶ。ドイツの児童文学やファンタジー、ミステリなど幅広い作品の紹介を手がける。訳書にヴェデキント『春のめざめ』(岩波書店)クルト・ヘルト『赤毛のゾラ』(福音館書店)シーラッハ『犯罪』『コリーニ事件』(ともに東京創元社)などがある。

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