『THIS ONE SUMMER』作品紹介
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マリコ・タマキ 作、ジリアン・タマキ 画、三辺律子 訳
2021年7月16日刊行
本体 2,200円(税込み 2,420円)
A5判・並製・カバー(320頁)
夏休み。母親がもうひとり子どもを望んでいたことに、ローズは気づいている。
それで両親がぎくしゃくしていることにも。友だちが子どもっぽく見える時があるし、雑貨店で働くダンクがなんだか気になって――。
湖岸の別荘地で過ごす、夏のできごと。思春期の入り口でゆれる心に寄り添う、傑作グラフィック・ノベル。
推薦の言葉
受賞情報
●ニューヨークタイムズベストセラー
●コールデコット賞オナー 世界三大絵本賞のひとつ グラフィック・ノベルとして初の快挙!
●マイケル・L・プリンツ賞オナー アメリカ図書館協会選定、もっとも優れた10代向けの作品を表彰
●ウィル・アイズナー賞 アメリカでもっとも権威ある漫画賞
●イグナッツ賞 小規模出版主体が発行した漫画作品の卓抜したものを表彰
●カナダ総督文学賞 カナダでもっとも権威ある文学賞
ほか受賞多数
作者について
編集担当者からのメッセージ
2015年にグラフィック・ノベルとしてはじめてコールデコット賞オナーに選ばれたほか、児童文学とマンガに与えられる数々の賞に輝いた本書。でもそうと知らなくても、そしてグラフィック・ノベルというジャンルのことをよく知らなかったとしても、のびやかな線と陰影の豊かな青い絵に、「あ、いいな」と思う方は多いのではないでしょうか。
毎日それなりに楽しく過ごしているはずなのに、ふとどこにも行けないような気がしてしまったり、ちょっとしたことで自意識に苦しくなってしまったり……思春期にゆれる主人公・ローズの心は、当時の自分を思い出して苦い気持ちになるくらいにリアル。でも読後には、「それでいいんだよ」と言われたような心強さが残ります。キツいよね、でも大丈夫だから、と。
足に感じる砂浜の熱さ、水のなかに差す光、夜の虫の声、たき火の匂いーーあの頃、今の自分とはちがう彩度の日常があったこと。忘れていた感情を呼びさますような圧倒的なイラストが、主人公をはじめさまざまな境遇にある女性たちの生を伝えて、読むたびに心をつかみます。今まさに変化の季節にいる人はもちろん、その荒波を生きのびてきた大人の読者にも、この夏、ぜひ出会ってほしい物語です。