岩波ジュニア新書『世界の神話』刊行紀念 沖田瑞穂さんトーク&サイン会
岩波ジュニア新書『世界の神話』刊行紀念 沖田瑞穂先生トーク&サイン会
8月の刊行以来、大好評の岩波ジュニア新書『世界の神話』。著者の沖田瑞穂先生によるトークイベントが、くまざわ書店桜ヶ丘店で行われました。
午前中の雨にもかかわらず、早くから並んでくださるお客様もおられて、多くのかたにお集まりただくことができました。書店の方のお話によると、普段よりも若い層のお客様が多いとのこと。沖田先生も大学で神話学を教えておられますが、女神転生やFGOなど神話をテーマにしたゲームの流行で、ここ数年で神や武器の名前に反応する学生さんが増えてきている、と実感されているそうです。
『世界の神話』は、そうしたゲームを入り口に、もっと神話について知りたいけれど、専門書はちょっと……という方に、一冊で網羅的に世界各国の神話を学べる本として手に取っていただけているようです。
さて、いよいよトークイベントです。
先生のご専門のインド神話を中心にお話は進みます。
インド神話自体は、ギリシャ神話やゲルマン神話ほどには日本で知られていません。しかし、日本でもよく知られている弁財天や帝釈天は、もともとインド神話の神様であること、インド神話は古いバラモン教の神話と新しいヒンドゥー教の神話に大別されることなどから始まり、ヴィシュヌ神の化身の解説や、類似した神話がなぜ世界中にあるのかなど、モニターに映し出された図版を見ながらの先生のお話に、みなさん熱心に聞き入っておられました。
神話の類似性については、たとえば本でも紹介されているインド神話「マヌの洪水」は、旧約聖書「ノアの洪水」ととてもよく似ていますが、これはメソポタミアの『ギルガメシュ叙事詩』が影響していると考えられるそうです。こうした神話の類似の理由として考えられているさまざまな説を、『世界の神話』を参照しながら、解説していただきました。
質疑応答でも研究者としての神話の読み方のアドバイスを求められる方や、類似性のさらに突っ込んだご質問などなど、会場から次々に手が挙がります。
サイン会も大盛況、みなさん沖田先生にサンスクリット語でサインしていただき、先生も始終笑顔でご対応くださり、とても楽しんでおられるご様子でした。
神話ファン、沖田先生ファンの皆様の並々ならぬ熱意に圧倒される、充実したトークイベントになりました。
くまざわ書店桜ヶ丘店では、沖田先生の選書による神話本フェアも開催しています(10月末まで開催予定)。沖田先生にいただいたコメントを、書店の方が一点一点、手描きのすてきなPOPにしてくださいました。また、先生がサンスクリット語でサインくださった色紙も展示していただいています。
みなさまぜひこの機会に、お出かけください!