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それぞれの『失われた時を求めて』 

プルーストなんてこわくない

 
 フランス文学の記念碑的大作『失われた時を求めて』。「いつか読んでみたいと思っているけれど、たぶん読破できないとあきらめている小説は?」というアンケートをとってみたら、まちがいなく上位を占める作品でしょう。
 
 長い? 難しい? いやいや大丈夫、楽しみながら読破できます! と、広く小説好きに呼びかける連続公開セミナーを、立教大学において、2017年秋からほぼ2ヶ月おきに開催しています(入場無料、予約不要)。
 
 テキストは、岩波文庫から刊行中の吉川一義氏による新訳(全14巻)。すっと頭に入る読みやすさと、最先端の実証研究にもとづく厳密さをかねそなえた決定版で、そろそろ完結が視野に入ってきました。
 
 毎回、多彩な講師をお招きし、司会と参加者の質問に答えていただきながら、各巻の読みどころを探ります。プルーストの言葉を借りれば、「美しい書物においては、あらゆる誤読が美しい」。参加者同士のディスカッションの時間をもうけ、「美しい誤読」を共有しあうのも、この企画の特徴です。
 
 ウェブ上でも、プルースト・マラソンのペースメーカーとして、Twitterの専用アカウントをたちあげ、関連情報を発信中。質問や感想も受けつけています。
 
 最初は手探りでしたが、セミナーは着実に回を重ね、毎回たいへんな盛況ぶりです。欠席した回の内容が知りたい、というご要望もあるため、「web岩波 たねをまく」イベントレポートのコーナーを活用して、各回の内容の一部をご紹介することになりました。
 
 題して「それぞれの『失われた時を求めて』」。毎回のゲスト講師、セミナー参加者、そしてウェブをごらんのかたーー。読者の数だけ、ちがった『失われた時を求めて』があると思います。さらにいえば、語り手「私」の「失われた時」をめぐる探求の物語をたどることで、読者もまた、みずからの「失われた時」を求めることになるはず。

 プルーストいわく、「それぞれの読者は、読んでいるあいだ、自分自身の読者なのである」。この連載によって、ひとりでも多くのかたが、それぞれの『失われた時を求めて』を読み、それぞれの「失われた時」を求める(そしてついには見出す?)機会が訪れますように。
 (2018.11.28)
 
◇各回のゲスト◇
第2回 工藤庸子氏  (東京大学名誉教授)[2017/12/9]
第3回 石橋正孝氏  (立教大学助教)  [2018/2/17]
第4回 湯沢英彦氏  (明治学院大学教授) [2018/4/28]
第5回 根本美作子氏 (明治大学教授) [2018/6/23]
第6回 阿部公彦氏  (東京大学教授)  [2018/8/25]
第7回 高楼方子氏  (作家) [2018/10/6]
第8回 野崎歓氏     (東京大学教授) [2018/12/1]
第9回 青山七恵氏  (作家) [2019/1/19]
第10回 小黒昌文氏  (駒澤大学准教授) [2019/3/2]
第11回 青柳いづみこ氏(ピアニスト、文筆家)[2019/5]
第12回 中野知律氏  (一橋大学教授) [2019/7]
第13回 柴崎友香氏  (作家) [2019/9]
第14回 吉川一義氏  (京都大学名誉教授) [2019/11]
 
 
 
【司会・レポート】
坂本浩也(さかもと・ひろや)
立教大学教授。著書に『プルーストの黙示録ーー『失われた時を求めて』と第一次世界大戦』(慶應義塾大学出版会、2015年)、訳書に、ピエール・ブルデュー『男性支配』(坂本さやかとの共訳、藤原書店、2017年)など。ツイッター「新訳でプルーストを読破する」を更新中。
 

 

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