蔡焜霖さんについて[台湾の少年]
本書の主人公、蔡焜霖(さいこんりん)さんについて
撮影:汪正翔
1930年、日本統治時代の台湾台中、清水に生まれる。
父が百貨店を経営するなど裕福な家庭に育った。
1949年に台中一中(高等部)を卒業すると、故郷の町役場の事務員になるが、50年、無実の罪で逮捕され、懲役十年の判決を受ける。
51年、離島にある収容所におくられ、強制労働と思想教育を受けながら、60年の9月まで収容された。
出獄後、漫画の翻訳に携わったことがきっかけで編集者になり、複数の出版社を経て、児童雑誌『王子』を創刊。台湾の児童文化に大きな足跡を残した。
その後は國泰グループの系列企業に移り、女性誌『儂儂』(non・no)の創刊に携わる。
現在は白色テ口時代の政治犯の名誉回復と、人権教育に力を注いでいる。司馬遼太郎『街道をゆく 台湾紀行』に登場する蔡焜燦は兄。2021年、日本政府より旭日双光章を授章。