『カラー版 名画を見る眼(Ⅰ・Ⅱ)』について
■累計82万部のロングセラーがカラー版で新登場!
『名画を見る眼』は、高階秀爾による西洋美術鑑賞の手引きです。戦後、日本で西洋絵画の展覧会が開かれるようになった当時、西洋絵画の本質について一歩進んで理解したいという人びとの願いに応えて執筆されました。一枚の絵に隠された芸術家の意図、精神性を探りながら歴史を一望します。
1969年の刊行以来、累計82万部と多くの読者に愛読されてきた名著を、この度、カラー版として刊行いたします。紹介する名画を大きくカラーにし、参考図版も新たに多数収載しました。西洋美術史の大家が30代で執筆、半世紀を経て卒寿を迎えた著者自身がおくる、決定版です。
■推薦のことば
『名画を見る眼』に出会って絵画を読み解くわくわくする面白さを教えられなかったら、別の道に進んでいたかもしれない
三浦 篤(東京大学名誉教授、美術史)
高階秀爾の目を通して名画をみつめる。
幸せな、あまりに幸せな1冊だ。
原田マハ(作家)
■本書の特長
- 主題となっている名画をすべてカラーにしました。
- 絵をよりよく理解するために、著者が言及した彫刻や絵画を参考図版として新たに、ほぼカラーで収載しました。
- 最新の研究成果を注に加えました。
- 絵画を、単に手先の技術として捉えるのではなく、感覚的、理知的な全人間的な活動として考えます。ヨーロッパの精神に迫りながら、わかりやすくその歴史を説く、とびきりの西洋美術入門書です。
■旧版・カラー版の比較
■著者略歴
高階秀爾(タカシナ シュウジ)
1932(昭和7)年、東京に生まれる。53年、東京大学教養学部卒業、同大学大学院で美術史を専攻。54-59年、パリ大学附属美術研究所で近代美術史を専攻。国立西洋美術館主任研究官、文部技官などを経て、79年、東京大学教授。92年、国立西洋美術館館長(-2000年)。現在、大原美術館館長。
■目次
カラー版
名画を見る眼Ⅰ──油彩画誕生からマネまで
(2023年5月19日刊)
Ⅰ ファン・アイク「アルノルフィニ夫妻の肖像」──徹底した写実主義
Ⅱ ボッティチェルリ「春」──神話的幻想の装飾美
Ⅲ レオナルド「聖アンナと聖母子」──天上の微笑
Ⅳ ラファエルロ「小椅子の聖母」──完璧な構成
Ⅴ デューラー「メレンコリア・Ⅰ」──光と闇の世界
Ⅵ ベラスケス「宮廷の侍女たち」──筆触の魔術
Ⅶ レンブラント「フローラ」──明暗のなかの女神
Ⅷ プーサン「サビニの女たちの掠奪」──ダイナミックな群像
Ⅸ フェルメール「絵画芸術」──象徴的室内空間
Ⅹ ワトー「シテール島の巡礼」──描かれた演劇世界
Ⅺ ゴヤ「裸体のマハ」──夢と現実の官能美
Ⅻ ドラクロワ「アルジェの女たち」──輝く色彩
XIII ターナー「国会議事堂の火災」──火と水と空気
XIV クールベ「画家のアトリエ」──社会のなかの芸術家
XV マネ「オランピア」──近代への序曲
あとがき/『カラー版 名画を見る眼』へのあとがき
カラー版
名画を見る眼Ⅱ──印象派からピカソまで
(2023年6月20日刊)
Ⅰ モネ「パラソルをさす女」──光への渇望
Ⅱ ルノワール「ピアノの前の少女たち」──色彩のハーモニー
Ⅲ セザンヌ「温室のなかのセザンヌ夫人」──造形のドラマ
Ⅳ ヴァン・ゴッホ「アルルの寝室」──不気味な内面世界
Ⅴ ゴーギャン「イア・オラナ・マリア」──異国的幻想
Ⅵ スーラ「グランド・ジャット島の夏の日曜日の午後」──静謐な詩情
Ⅶ ロートレック「ムーラン・ルージュのポスター」──世紀末の哀愁
Ⅷ ルソー「眠るジプシー女」──素朴派の夢
Ⅸ ムンク「叫び」──不安と恐れ
Ⅹ マティス「大きな赤い室内」──単純化された色面
Ⅺ ピカソ「アヴィニョンの娘たち」──キュビスムの誕生
Ⅻ シャガール「私と村」──回想の芸術
XIII カンディンスキー「印象・第4番」──抽象絵画への道
XIV モンドリアン「ブロードウェイ・ブギウギ」──大都会の造形詩
あとがき/『カラー版 名画を見る眼Ⅱ』あとがき