この連載では、毎回一冊の本を取り上げ、そこに登場する様々な国々がどのように西洋社会を構成しているかを考える。対象とするのは、今日の政治学の教科書で紹介されることの多い二〇世紀後半の著作である。
こうした検討は、東アジアの中での日本を知るための材料となるだろう。「その理論は、日本に当てはまるか」と考える代わりに、「その理論の前提とする西洋社会は、東アジアとはどう違うのか」「東アジアの中で、日本はいかなる特徴を持つのか」と考える態度が生まれるからである。そこに、西洋中心主義とも、自国中心主義とも異なる道が見えてくることを期待したい。
(本連載 第1回より)