佐藤ジュンコ あの日から続いている道を、これからも歩いていく
「主催する企画展のほかにも、この土地に関わる人の無数の想いや声が活動となって展開されてきました。(中略)そういう、名前のつかない真実の活動が折り重なって踏み固めた地盤から、文化が生まれていくんじゃないのかな。そんな風に思いながら「場」や「機会」を設け、時を積み重ねてきました。」
(せんだい3.11メモリアル交流館企画展「あの日から海辺と歩いた10年|荒井駅から青葉山への軌跡」初代館長の言葉より)
せんだい3.11メモリアル交流館は仙台市営地下鉄東西線の東側の始発駅、荒井駅に直結する、沿岸部への扉のような場所です。震災の被害と復旧・復興についての展示もありますが、震災前の沿岸部での暮らしや、地域の方、活動に関わる方の想いに触れられる企画展示に惹かれ、通い続けています。
沿岸部に関わる方の活動は多岐にわたり、復興と防災のための活動だけでなく、地域の交流、文化・伝統・歴史を次の世代につなぐための活動など、さまざまです。たくさんの小さな(とみなされてしまいがちな)想いや声に丁寧に向き合い、紹介し、活動を支えてきたのが、せんだい3.11メモリアル交流館です。
震災直後、誰かの役に立つことを何一つしてこなかったことを、ずっと引け目に感じていました。当時働いていたジュンク堂書店仙台ロフト店の営業再開をただただじっと待っていただけでした。私も被災者ではありましたが、震災について語ることに罪悪感を抱き、沿岸部を訪ねたり活動に関わったりする資格は自分にない、と頑なに思っていた頃もあります。
2016年、せんだい3.11メモリアル交流館がオープンしたことで、かつての沿岸部の生活の営みとさまざまな活動を知り、想いと声に触れる機会ができました。この場所で過去を振り返ることは、懐かしむためだけでなく、感傷に浸るためだけでもなく、好奇心を満たすためだけでもない。現在を生きる私たちのためだけでもなく、未来を生きる人たちの役に立つことがあるかもしれない。誰かの大切な記憶を分けてもらって持ち帰る私も、別の誰かとこの街の記憶を分け合うことができるかもしれない。そんなふうに考えるようになりました。
「15年の節目の年」「復興も一区切り」と宣言する大きな声に、さらに5年後には何にどう区切りをつけられてしまうのだろうと不安になるとき、「心の復興」という言葉の重みが損なわれているように感じるとき、「寄り添う」という言葉を疑ってしまうとき、せんだい3.11メモリアル交流館のことを思います。大きさと多さと速さに流されないように、惑わされないように。自分の中の小さな想いと声をなかったことにしないように、かき消されてしまわないように。誰かの想いと声を傷つけないように、奪わないように。未来を生きる人たちに何をどう残せるか、これから何をどう積み重ねていったらいいのかを考えながら、あの日から続いている道を、これからも歩いていきます。





