和菓子月ごよみ*文月 葛桜
葛つながりで。
歌舞伎(浄瑠璃)の「葛の葉子別れ」(蘆屋道満大内鑑)は、本当は狐だった母「葛の葉」と男の子の悲しい別れの物語。
障子にさらさらと和歌を書いて朝露のように姿を消してしまう、せつない狐。
*葛ざくら (神保町・文銭堂)
*「蘆屋道満大内鑑」の本文は、『新日本古典文学大系 93 竹田出雲・並木宗輔浄瑠璃集』に収められています。
葉に降りた露に通じる涼しげな様や、ひんやりとした食感から、夏に目にすることが多い。
桜餅の言い方にならうなら、桜葛饅頭になるところだが、桜の品種名のように、葛桜としたところが風流だ。
(中山圭子著『事典 和菓子の世界 増補改訂版』より)