和菓子月ごよみ*清明 花かんざし
厳しい稽古を重ねていよいよ四月一日、都をどりの初日です。第一景の「置歌(おきうた)」で両花道から立方さんが柳桜をこき混ぜた団扇(だんせん)を手に、「都をどりは、ヨーイヤサァ」の掛け声とともに出てまいります。この団扇は三十日間使いますので毎年作り替えておりますが、赤い房のついた都の春らしい、可愛(かい)らしいもんです。
(井上八千代『京舞つれづれ』)
心浮き立つ桜の季節。ものみなすべて清らかに見える〈清明〉の季節。
*清明 二十四節季の1つ。新暦4月4日頃。
花かんざし(京都・末富)
桜が気になり出したら、ちょっと趣向をかえて、和菓子でお花見もおすすめ。「初桜」「薄桜」に始まり、満開時には「花錦」「桜山」、そして散り時は「ひとひら」「花ふぶき」など、優雅な菓銘はもちろん、菓子の色や形からも桜の移ろう姿が楽しめる。
(中山圭子 『事典 和菓子の世界 増補改訂版』より)