和菓子月ごよみ*水無月 若あゆ
梅雨の季節に思い出す、なまめかしい雨の詩。
きょとんとした鮎もなかなか艶っぽい。
南の風に柔らかい女神がやってきた
青銅をぬらし噴水をぬらし
燕の腹と黄金の毛をぬらした
(西脇順三郎「雨」より)
*若あゆ (神保町・文銭堂)
とりわけ夏には「若鮎」「焼鮎」の名の焼き菓子が目につく。卵を使った小麦粉生地を焼き、求肥(ぎゅうひ)をはさみ、焼印や焼ごてで目やえらなどをつけたもので、生地を折り込んで尾びれを表すなど、なかなか芸が細かい。
店によって鮎の表情が違うのも気になるところ。
(中山圭子著『事典 和菓子の世界 増補改訂版』より)