平安オトメのおこもり読書*tanemaki diary
いまからざっと1000年前の『更級日記(さらしなにっき)』は、物語好きの少女時代にはじまります。
こんな感じの楽しい一節があります。
『源氏物語』の「若紫」を読んでみたら、ほんとうにはまってしまった!
これ、50巻以上あるみたいだけど、誰かプレゼントしてくれないかなあ…
と思っていたら、なんと親戚のおばさまが箱入りでくださいました!
もう気もそぞろで、ちらっとあちこち見ながら、とにかく引きこもって、すごく気になっていた光源氏を第1巻から読む幸せったら!おきさきの位なんてどうでもいい。
昼間は一日じゅう、夜は目がさめているかぎり読み続けるの。
14歳の平安オトメは、物語に登場するヒロインたちにも夢中です。
いまはわたし、あんまりいけてないけど、きっと大人になれば美人になって髪も長くうるわしくなるはず!
この作品を高校の古文の授業で習ったとき、あまりにもいきいきとしていて、うんうん、その感じよくわかる!とにやっとしてしまいました。
「自宅にいよう」のいま、ふと『更級日記』を思い出してひらいてみて、改めて気がついたことがあります。
これは治安元年(1031年)の節なのですが、この年の春は疫病が流行った、と冒頭にあります。乳母や知人が亡くなり、気持ちが落ち込んでいたこの平安オトメを心配して、おかあさんが『源氏物語』を1冊渡したのでした。
さて、現代ならかならずしも本ではなさそうです。
大人買いしてあった漫画やDVDなど、特にふだん手ののびない長編に挑戦できる時間かもしれません。
平安オトメ、正確には菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)に再会できた春になりました。