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tanemaki diary

tanemaki diary*20年後にボン・ボヤージュ

 
 著者の方の講演会やイベントの会場で本を販売することがあります。ふだんなかなかお会いすることのない、「本を買ってくださる方」「本を読んで下さる方」と直接お話しできる貴重な機会でもあります。
 
 先日は、横須賀にある海洋研究開発機構(JAMSTEC)の一般公開があり、ここに所属されている高井研さんの『生命の起源はどこまでわかったか』と、北里洋さんの『深海、もうひとつの宇宙』の販売に出かけました。横浜からも1時間ほどかかるし、一般公開といってもどのくらい人が集まるのかなとのんきに構えていたのが大間違い。最寄りの京浜急行・追浜駅を降りるとシャトルバスを待つ長蛇の列。会場に着くと開門前からこれまた大行列。

 研究所は海に面していて広々と気持ちよく、「しんかい6500」の展示や、それを積んで世界中の海へ出かけていく調査船「よこすか」の展示もあり、親子連れはもちろん、幅広い年齢層の深海ファン・深海生物ファンのにぎやかな声であふれかえっていました。
 本の販売テントにもほとんどの方が必ず立ち寄ってくださり、あらためて深海ファンは本好きだなあと体感しました。小学生でも、ただ本を手にとるというだけでなく、自分が読めるかどうか真剣に考えている様子で、普段から本を読み慣れている感じが伝わってきました。

 高井先生の楽しいサイン本が次々といろいろな人の手に渡り、その後ろ姿をなんどもうれしく見送っていると、販売机ぎりぎりくらいの身長の男の子が本を手に取ってていねいにページをくりはじめました。
 小学校低学年かな、さすがにちょっと無理かな、と思っていたところ、まっすぐこちらを見て、本を差し出し、「これ、買います」。
 おお、買うのはお母さんだから、とそばにいたお母さんを見上げると、「はい、読むのね。じゃ買いましょう。この子、とにかく本が大好きなんです。難しくても大丈夫」。
 母子そろって頼もしい、と本を渡しながらその子に「何歳?」と聞くと、「3歳!」という元気いっぱいの答えがかえってきました。
 これも貴重!今日は高井先生の本の最年少読者に会うことができました。
 
 いつか彼が海洋研究者になり、調査船に乗り、大海原に出かけていく日がきっとくるに違いありません。
 研究室の書棚にこの本があったら、とうれしく想像させていただきました。
 

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