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著者からのメッセージ

荒木浩『京都古典文学めぐり──都人の四季と暮らし』<著者からのメッセージ>

荒木浩『京都古典文学めぐり──都人の四季と暮らし』<著者からのメッセージ>

古典をめぐり、京都をながめ、今を想う

 今年、葵祭の路頭の儀が四年ぶりに復活した。ただし雨の順延で、五月十六日開催となる、おまけ付き。私は実見できなかった。やむなく二〇一九年に観覧した写真をながめながら、「祭のかへさ」での和泉式部の奇抜な着飾りや清少納言の賀茂臨時祭の高揚こそ、まさしく古代の「グルーヴ」だ、などと誌した文章を読んでいた。

 京都の「史跡などの歴史を物語でつなぎ、散策路を策定する」趣旨のもとに進められた「文遊回廊」プロジェクトの連載に由来する、本書ゲラの一節だ。だからあとがきは、葵祭の翌日に、と閉じている。本書に引く『徒然草』一三八段も念頭に。

 近年、人文学の危機が報じられ、古典文学研究にも厳しい「現実」が突きつけられている。こんなに面白い分野を、目先の時流であっさり切り捨てて良いものか。素朴な感想だが、その片隅で実現したこの小さな本は、はたしてどれほどのものだろう。我が身を顧みては恐懼するばかりで、ジタバタする場所すらない…。そう、あたかもそんな極小の庵に住み、心と一体の宇宙をのぞきこんで自問自答した鴨長明が、本書の旅の案内人である。詳しくはご一読を。

(あらき ひろし/国際日本文化研究センター教授)

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