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著者からのメッセージ

國分功一郎『スピノザ 読む人の肖像』<著者からのメッセージ>

國分功一郎『スピノザ 読む人の肖像』<著者からのメッセージ>

「意識」の発明

 本書はスピノザの生涯とその思想の総体をできる限り簡潔に説明しようという試みです。ただ、その論述は要約のようなものではなくて、いくつかの問題に導かれています。その中でも主となっているのが、「意識」の問題、「意識」と「良心」の区別の問題です。

 日本語で「意識」と「良心」は全く別物です。けれどもconsciousness(意識)とconscience(良心)はよく似ている。それもそのはずで両者は元々明確には区別されていなかったのです。ラテン語にはconscientia という語しかありませんでした。スピノザが生きた17世紀に、ちょうど「意識」という概念が必要とされ始め、それに対応する英単語も造語されました。では、スピノザはこの思想史上の大事件とどう関係しているか。

 意識と良心が区別されていない状態を想像するのは現代人にとっては大変骨の折れることです。しかし、想像力と知性を駆使しながら一つの問題に取り組む作業は哲学に欠かせないものです。本書を通じて、読者の皆さんと一緒にその取り組みができることを願っております。

(こくぶん こういちろう/東京大学大学院総合文化研究科教授)

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