木村由莉『恐竜がもっと好きになる化石の話──ゆり先生の化石研究室』<著者からのメッセージ>
「恐竜が好き」をカタチにしていく
夏の展示会場をまわると、子供たちが熱心に解説している様子を見て思わず笑みがこぼれます。「教えていないことなのに、いったいどこで覚えているのだろう」と内心思っているに違いない大人をキラキラした目で見上げながら、展示にも首を振り、とても楽しそうです。
世界中の荒野から発見される化石によって我々の子供の頃に常識だった恐竜像は見直され、考えも及ばなかったほどの新説が登場しています。肉食恐竜はゴジラ型から水平型の姿勢になり、鳥類に近いグループには羽毛があり、いくつかの恐竜についてはその色も明らかになりました。これらは全て「答え」です。
どうやってその答えを「導いた」のでしょうか。本書は、小学生から中学生向けに「古生物学のゼミ」を開講するイメージで執筆しました。絶滅した生物を知る方法を一緒に考えていきます。きっと博物館の展示も今までとは違った視点で見たくなります。それは、ただ「見る」のではない「観察」であり、きっとワクワクするようなアイデアが湧いてくるはずです。
(きむら ゆり/国立科学博物館地学研究部研究主幹)