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椿玲未『カイメン すてきなスカスカ』〈著者からのメッセージ〉

 

人間目線、ちょっとお休みしてみませんか?

私たち人間は皆、さまざまな悩みを抱えながら生きています。深く懊悩し、もう生きてはいけないと思い詰める日もあるでしょう。しかし、ちょっと視点を変えるだけで前向きになれたり、悩みが軽くなったりするのも、人間という生き物の愛すべき特性ではないでしょうか。

辛いことがあったとき、私はよく海へ出かけます。海にはたくさんの生き物たちがいて、彼らなりの理に従い、懸命に生きています。本書の主人公、海綿動物(カイメン)も然りです。カイメンは脳も心臓も持たず、あるのはスカスカの体だけ。私たち人間の常識など、全く通用しません。そんな彼らを眺めているうちに心痛も忘れ、鼻歌なんぞ歌いつつ帰路に就くというのが、私のお決まりのパターンです。

本書副題は「すてきなスカスカ」としました。「スカスカ」は人間目線ではあまり良い言葉ではありませんが、カイメンにとっては、スカスカの体は命そのもの。副題を聞いた多くの人は笑いますが、私は真面目も大真面目。人間目線からちょっと離れて、「すてきなスカスカ」の世界を一緒に探検してみませんか?

(つばき れみ/海洋研究開発機構海洋科学技術戦略部アドバイザー)

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著者略歴

  1. 椿 玲未

    1985年大阪府門真市生まれ。小学生のとき家族で訪れた海で魚に魅せられ海洋生物学者を志すも、中高時代は読書にふけり、京都大学文学部に進学。生態学の授業で生き物への情熱がよみがえり、生物の研究ができる総合人間学部に転学部。その後同大学大学院人間・環境学研究科に進学し、2013年、博士(人間・環境学)を取得。学位取得後は森林総合研究所、海洋研究開発機構で研究を行う。生き物全般に深い愛情を持ち、研究対象としては、魚、二枚貝、昆虫、そしてカイメンを扱ってきた。現在はサイエンスライターとして活動しながら、東京大学総合研究博物館、海洋研究開発機構でカイメンの研究も進めている。

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